患者のウソ。

　ええ、もう、ウソツキの集まりですよ(暴言

　「ちゃんとお薬飲んでるのに、治らない」
ちゃんとお薬飲んでるのに、予定よりも2週間も
遅れて通院した挙句に、「まだ薬が余ってる」なんて
何事ですか。調剤間違えましたか。そーですか。
んなわけあるかぁぁぁ

　とゆうようなウソなんて、日常チャメシゴトなわけですよ。
今回のウソは、そーゆーウソではございませんのことよ。

　なんつーかね。
「悲しい」気持ちとゆうか。「共感できる」気持ちとゆうか。
んー。微妙。一応、事の顛末を。

　いつも、母親と一緒に来局する患者さんで、
けいこちゃんとゆう、32歳だったかな。
そーゆー患者さんがいる。
　鬱症状が強いのかなーとは思うが、
あたしは医者ではないので、詳しい病名とかは知らない。

　どうも、ここ1、2ヶ月ほど、調子が悪い様子だった。
病院で動けなくなって、点滴してる、とか、
お薬を取りに来た母親が話していたことを覚えている。

　大体、2週間に一度ほどやってくる。
でも今回は、前回来局から1週間ちょっとしか経ってないのに、
お薬の処方があった。
で、母親が一人で取りに来ていた。

　ご本人はまだ病院ですか?
と薬剤師が聞いたところ、
やっぱり、調子が悪くて、病院で横になっている、とのこと。

　来週、入院するんです

と母親がゆった。
　あー、入院するんだぁ。
調子悪そうだったもんなあ…
と、あたしは思っていた会話。

　この時処方されたお薬は、頓服薬。
入院は、来週の頭なので、それまで、
また調子が悪くなった時に、いつも飲んでいるお薬の他に
飲んでください、とゆうお薬だった。

　で、いつも飲んでるお薬ってゆうのが、
計算からゆうと、来週一杯は持ちそうにない。
まあ、入院するんだから、お薬持って無くても
問題ないけどねーと考えていたのだが、

今日、病院に来る前に、お薬を数えてみたら、
まだ1週間分以上は残ってたんですよね。

　とおっしゃる。
お薬の管理は、患者である娘本人がしている、とのこと。

　飲んでなかったんだね。
飲み忘れも考えられるけど…

今日、娘が、自己申告したんです、先生に。
　ずっと、調子がいいって言ってきてましたけど、ウソでした。
　ずっと、調子が悪かったんです
って。

　どうやら、お薬の副作用も辛かったみたいで、
それで、お薬を飲まないで過ごしていたみたい。
でも、お薬を飲まないと、症状は改善されないわけで…

家でも、ずっと、調子が悪そうだったから、
入院も考えてはいたんです、家族も。
でも、「お母さんのせいで入院させられた」
と言われも、切ないし…
　だから、本人の意思に任せようって思ってたんです。
多分、入院する、とは言い出さないとは思ってたんですけど、
本人が、自宅で過ごしたいなら、そうやって治療したいなら、
そうしていこう、家族でお世話しようって。
そう思ってたんですけどね…

　でも、ずっと調子も悪くて…

　家の中じゅうを、包丁を探すんです。
ずっと、見つかるまで探して歩くんです。
　見ている家族は、切なかった。

　それが、朝となく、夜となく、夜中となく、続く。
そんな娘を見ているのは、辛かった。

　朝方、家を出て行こうとするんです。
朝の4時とかですよ。
一人で、抜け出そうとして…
眠りが浅いんでしょうね。

　目も離せないけど、見ているのは切ない。
でも…の堂々巡りで。

　本当に、切なかった。

　母親は、半分泣きながら、薬剤師に説明していた。

普段は、何の手もかからない子なんです。
おとなしい子ですしね。
調子のいい時は、全然。
一緒に生活してても、あれ、いたの?ってゆうくらい(笑
本当に、手のかからない子で、おとなしい子。
何の苦もない子なんですよね。

　だからこそ、一緒に生活していきたい、
そばで見守ってあげたいって思ってたんですけど…

　こういう状態になると、切ないですね(苦笑

　今回の入院で、少しでも快方に向かえばいいですねって
薬剤師は話してた。

　入院が来週なのは、家の都合なんだって。

あの子の姉の子のね、
誕生会があるんです、週末。
それに呼ばれてるんですよね。
だから、そこで、家族みんなで過ごしてから、と思って。


　子育てに必死な親もいる。
バカな親ばかりが目立つ昨今だけど、
絶対に、必死な親もいる。

　すごく、安心できる。